会社の社会保険に入ることで、年金を増やしたり、健康保障を手厚くしたりすることができます。
社会保険の適用拡大により、パート・アルバイトでも、社会保険に加入できるケースが増えつつあります。
しかし、社会保険に加入したけれど、1ヶ月以内に退職する人もいるかもしれません。
この場合の社会保険の加入期間や社会保険料はどのようになるのでしょうか。
当記事では、社会保険の加入から1ヶ月以内に退職する場合について詳しく紹介します。
社会保険とは?
社会保険とは「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類の保険を指します。
「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」を狭義の社会保険、「雇用保険」「労災保険」を労働保険と区別して定義する場合もあります。
狭義の社会保険料は「労使折半」、雇用保険料は「雇用主が多く負担」、労災保険料は「雇用主が負担」とされています。
なお、この記事では、狭義の社会保険を「社会保険」として定義して解説します。
退職する際の社会保険料は?
ここでは、入社から1ヶ月以内に退職したケースを考える前に、退職する際の社会保険料について詳しく紹介します。
退職の際の社会保険料は、原則として、月末に在籍しているかどうかで判断されます。
社会保険の資格喪失月の前月まで、社会保険料は支払う必要があります。
なお、社会保険の資格喪失日は、退職日の翌日です。
そのため、社会保険料は、月の途中で退職する場合「退職月の前月まで」、月末に対象する場合「退職月まで」発生します。
例えば、6月20日に退職する場合、6月21日が社会保険の資格喪失日となるので、退職月(6月)の前月である5月分まで社会保険料を負担する必要があります。
一方、6月30日に退職する場合、7月1日が社会保険の資格喪失日となるため、退職月(6月)まで社会保険料を負担する必要があります。
社会保険の加入から1ヶ月以内に退職する場合は?
入社月と退職月が重なる場合は、例外で、月の途中に退職してもその月の社会保険料を負担する必要があります。
例えば、4月1日に入社して、4月20日に退職する場合、入社月と退職月が重なるため、4月分の社会保険料を負担する必要があります。
一方、4月20日に入社して、5月10日に退職する場合、社会保険の加入から1ヶ月以内に退職することになりますが、退職月(5月)の前月である4月分のみの社会保険料の負担になります。
健康保険証はいつから使えなくなる?
健康保険証は資格喪失日より使用できなくなります。そのため、当月分の社会保険料を負担しているのに、健康保険証が使えないケースもあるので注意が必要です。
健康保険の資格を喪失したら、「別の会社の健康保険に加入する」「健康保険任意継続制度を利用する」「国民健康保険に加入する」のいずれかから選択して手続きを行う必要があります。
退職等により健康保険の資格喪失をした日以降は保険証を使用できません。
【会社を退職される方へ】保険証はいつから使えなくなるの?|全国健康保険組合
退職月は厚生年金保険の加入期間に含まれる?
厚生年金保険の加入期間は、社会保険料の負担した月まで含まれます。
そのため、1日で退職した場合でも、社会保険料を負担しているため、厚生年金保険の加入期間に含まれます。
ただし、入社月と退職月が重なる場合で、他の会社の厚生年金保険に加入、もしくは国民年金に加入するのであれば、先に喪失した厚生年金保険料の負担は不要になります。
厚生年金保険の資格を取得した月にその資格を喪失した場合は、厚生年金保険料の納付が必要になります。被保険者負担分の厚生年金保険料は退職時に給与から控除され、会社が会社負担分と被保険者負担分を翌月末までに納付することとなります。
月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。|日本年金機構
ただし、厚生年金保険の資格を取得した月にその資格を喪失し、さらにその月に厚生年金保険の資格又は国民年金(第2号被保険者を除く)の資格を取得した場合は、先に喪失した厚生年金保険料の納付は不要となります。この場合、年金事務所から対象の会社あてに厚生年金保険料の還付についてのお知らせを送付します。厚生年金保険料の還付後、被保険者負担分は会社から被保険者であった方へ還付することになります。
社会保険料の負担の観点から退職日を考えよう!
月末退職すれば、その月の社会保険料の負担も必要になります。
月の途中で退職するよりも、社会保険料の負担は大きくなるかもしれませんが、厚生年金保険の加入期間を増やし、年金を増やせる可能性があります。
また、社会保険料は労使折半で、国民健康保険・国民年金保険は完全自己負担です。
そのため、月末まで在籍していれば、社会保険料の負担が軽くなるケースもあります。
このように、社会保険料の負担の観点から自分にあった退職日を考えましょう。
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