大学や大学院などに進学すると、研究室に所属して、査読付き論文を書く機会がある人もいるかもしれません。
なお、大学や大学院であれば、査読付き論文を出さなくても、原則として単位をきちんと取得して、卒業論文や修士論文といった論文を提出すれば、卒業することができます。
それでは、査読付き論文を出すことは学生にとって、どのようなメリットあるのでしょうか。
当記事では、査読付き論文を出すメリットや、査読の目的・問題点、査読は誰が実施するのかについて実体験を基に解説します。
査読付き論文とは?
ここでは、査読付き論文とはどのような論文なのかについて詳しく紹介します。
査読付き論文とは?
査読付き論文とは、査読を通過した客観性・信頼性の高い論文を指します。
なお、査読とは、投稿された論文をその学問分野の専門家が、内容の査定を行うことです。
査読付き論文の場合、査読で落ちると、原則としてその論文集で論文を出すことができません。
査読のレベルは、学問分野や専門家などによって異なることがあります。
そして、修士・博士の学生や研修者などの実績は、査読付き論文の投稿数で判断されることもあり、学位審査などに影響を与えることもあります。
私の場合、修士のときに奨学金を借りていたため、査読付き論文などの投稿数が多いと、奨学金の返済免除を受けることができる可能性もありました。
査読付き論文の具体例
ここでは、査読付き論文の具体例として、私が執筆した論文を紹介します。
寺嶌 幹裕, 庄司 学, 奥津 大, 若竹 雅人, 末冨 岩雄, 塚本 博之, 鈴木 崇伸:通信用橋梁系設備の既往地震被害データに関する体系的整理と分析・考察,土木学会論文集A1 (構造・地震工学),Vol. 75, No. 4,pp. I_170-I_188, 2019.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejseee/75/4/75_I_170/_article/-char/ja
上記の論文では、2人の専門家(別の大学の教授)により、2度の査読が実施されました。
そのため、論文を執筆し始めてから、実際に外部に発表されるまでに、2年~3年程度かかりました。
査読付き論文を出すメリット
ここでは、学生が査読付き論文を出すメリットについて詳しく紹介します。
文章力・論理的思考力を高められる
査読付き論文を出す場合、一般的な論文よりも厳しいチェックになるため、少しの文章のミスやニュアンスの違いなども指摘されます。
たとえば、大学生の場合は卒業論文、修士の場合は修士論文を出す機会があるかもしれません。
そのときに、教授にチェックしてもらうだけでも、文章力や論理的思考力は鍛えられます。
査読付き論文を出す場合には、より一層、文章力や論理的思考力を養うことができるでしょう。
私は理系の学生でしたが、査読付き論文を執筆した経験により、文章を書く自信が身に付きました。
生涯に渡って使用できる実績を作れる
査読付き論文は、第三者にもアピールできる信頼性の高い実績となります。
そのため、就職・転職活動や副業などで、自己アピールとして査読付き論文を出したことを活用することが可能です。
私がWebライターを始めた当初は、査読付き論文をこれまでの実績として活用していました。
奨学金の返済免除の可能性がある
奨学金を借りて大学・大学院などに通っている学生で、優秀な学生として認定されると、奨学金の返済免除を受けることができます。
優秀な学生の基準は、学校によってさまざまですが、査読付き論文の投稿数は評価が高いといわれています。
ほかにも、査読のない論文投稿やボランティア活動、授業の成績などが評価対象になることがあります。
このように、奨学金を借りて生活を送っている学生は、査読付き論文を出すことで、奨学金免除の可能性を高めることが可能です。
査読の目的
査読を行う目的は、主に下記の通りです。
・専門家に内容を評価してもらい正しい情報に修正を行うため
・ジャーナルに掲載する価値があるかどうかを判断するため
査読の問題点
査読の問題点には、専門家によって評価が異なる点が挙げられます。
そのため、査読者によっては、論文の重大な欠陥を見逃してしまい、論文を投稿した後に指摘を受ける可能性もあります。
また、査読には、時間や手間がかかり、コスト面についても問題点として挙げられます。
査読付き論文を出すことのメリットを理解して充実した研究を行おう!
査読付き論文を出すことで、文章力・論理的思考力を高めたり、実績として活用したりすることができます。
場合によっては、奨学金の免除などのメリットを得ることが可能です。
ただし、査読付き論文を出すには、それ相応の時間や手間をかける必要があります。
将来の目標や研究の目的などを明確にしたうえで、充実した学生生活を行うために、査読付き論文を出すかどうかを検討しましょう。
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