ITパスポート試験とは国家資格の一つです。IT業界未経験者やIT知識を深めたい方にとって、はじめて取得するのが推奨される資格といえます。
当記事ではITパスポート試験の詳細や難易度、勉強時間・勉強方法、申し込み方法などを解説します。
この記事を読むことで、ITパスポート試験について網羅的に理解することができるでしょう。
ITパスポート試験とは
ITパスポート試験とは?
ここでは、ITパスポートの詳細や、ITパスポートを取得するメリットについて紹介します。
そもそもITパスポート試験とは
ITパスポート試験とは、「情報処理技術者試験」のうち最も簡単なレベルの資格であり、「情報処理の促進に関する法律」に基づいている国家資格の一つです。略称として「iパス」と呼ばれることもあります。
IT技術の急激な発展に伴い、ITリテラシーの観点から情報処理に関する正確な知識が必要ということで、平成21年よりITパスポート試験は新設されました。
たとえば、近年では「AI」「ビッグデータ」「IoT」「クラウド」「セキュリティ」のように新しいIT技術について正確な知識を身に付けることが社会的に求められています。
ITパスポート試験の資格を保有している方は、業務で正しくIT技術を活用できる知識をもっているといえるでしょう。
ITパスポート試験の資格を取得するメリット
ITエンジニアにとって、ITパスポートの資格を取得してもほとんど意味がありません。ITパスポート試験の内容はエンジニアの場合、知っていて当然の知識であることが理由として挙げられます。
ただし、新卒でITエンジニアを目指している方は、ITパスポートを取得することで、企業に対して入社する熱意があるという意味でアピールできる可能性もあります。
一方、IT系職種ではない方には、ITパスポート試験は有用な資格です。たとえば、営業職や事務職などの方でも業務を効率化するために、IT技術を活用する機会は年々増加傾向にあります。
基本的なIT知識を理解することは、すべての職種で業務をおこなう上で大きなメリットとなるでしょう。IT知識は業務だけではなく、私生活でも活かすことができます。
ITエンジニアを目指す方は「基本情報技術者試験」を取得しましょう!
IT業務に携わる方は「ITパスポート試験」の取得がおすすめです!
ITパスポート試験の概要
ITパスポート試験について具体的内容が知りたい!
ここでは、ITパスポート試験の試験概要について詳しく紹介します。
ITパスポート試験の試験内容
試験時間は120分、問題数は100問です。記述式問題は出題されません。しかし、計算問題は最近では多く出題される傾向にあります。時間が足りなくなる方は、一つの問題に時間を多く割かないことが推奨されます。
出題形式は「CBT方式」です。「CBT」とは、「Computer Based Testing」の略称です。つまり「CBT方式」とは、コンピュータを利用して実施される試験方式を指します。
受験者はPCの画面に表示された試験問題に対して回答をおこないます。ITパスポート試験は、4つの選択肢の中から1つを回答する試験です。
受験条件はありません。年齢や国籍などに関係なく誰でも受験することが可能です。すべての都道府県で毎月試験は実施されています。受験する方の都合に合わせて試験日時や会場を選択も可能です。
就活をおこなった方でSPIを受験した人も多いのではないでしょうか。
それと似たような試験です!
ITパスポート試験の試験日
ITパスポート試験は、毎月2~3回程度の試験日が設けられています。一般的に、試験日は週末である金・土・日が多いです。試験の時間帯は、試験日の午前と午後に数回実施されています。
ITパスポート試験の上位資格である基本情報技術者試験の場合、年に2回しか実施されていないため、ITパスポート試験は毎月受けられるという特徴があります。
試験日は会場ごとに3カ月先まで確認が可能です。また、試験日や受験会場ごとに受験できる人数は決まっているため、希望する日程が決定している方は早めの申し込みがおすすめです。
参考:ITパスポート試験|IPA
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/examhall/examhall_info.html
ITパスポート試験は毎月受けられる試験のため、その点からも難易度が低いといえるでしょう!
ITパスポート試験の受験会場
ITパスポート試験は47都道府県で実施されています。都道府県ごとに複数の会場が設けられていることもあります。
ITパスポート試験の受験日や受験会場を先に定めてから、学習を開始することも一つのプランです。事前に受験日や受験会場などの具体的な試験日が決まっていると、モチベーションが高まります。
ITパスポート試験に合格するために必要な時間は、一般的に100時間から150時間程度です。IT知識をある程度習得している方は、勉強時間を短縮できるでしょう。
参考:ITパスポート試験|IPA
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/examhall/examhall_info.html
目標を設定することで逆算して勉強日程を計算することもできます!
ITパスポート試験の難易度
ITパスポート試験の難易度は?
ITパスポート試験の合格ラインについて気になる方は多いのではないでしょうか。ここでは、ITパスポート試験の合格基準や受験者層、基本情報技術者試験と比較したITパスポート試験の難易度について詳しく紹介します。
ITパスポート試験の合格基準
ITパスポート試験では、IRT方式で計算される評価点が合格ラインとされています。IRT方式とは、回答した結果より評価点を算出する方法です。実施された試験ごとの難易度の差を減少させるために利用されています。
問題は100問ですが、IRT方式のため1問10点として計算はされません。合格基準は総合評価点が1000点満点中600点以上かつ、3つの分野別の評価点がそれぞれ30%以上の取得が必要です。3つの分野とは「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」です。
ストラテジ系の分野では、企業と法務・経営戦略・システム戦略に関して35問程度出題されます。マネジメント系の分野では、開発技術・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメントに関して20問程度出題されます。そしてテクノロジ系の分野では、基礎理論・コンピュータシステム・技術要素などのIT知識に関して45問ほど出題されます。
したがって、ITパスポートでは、IT知識だけではなく、経営戦略やリスクマネジメント、財務に関する問題も出題されます。
IT系の専門学生であっても油断できないことがいえます!
ITパスポート試験の受験者層
毎年10万人以上の方がITパスポート試験を受験しています。令和元年度の試験の受験者数は103,812人でした。内訳は社会人が60%程度、学生が40%程度です。基本情報技術者試験の場合、学生の割合は30%。応用情報技術者試験の場合、学生の割合は10%です。そのため、ITパスポート試験の受験者は学生が多い傾向にあります。
学生の中でも高校生の受験者も多い傾向があります。ITパスポート試験の資格を取得すれば、大学入試で優遇措置が受けられることや単位認定をもらえることなどが理由として挙げられます。
大学時代にITパスポート試験に合格すれば、受験料補助をもらえたり、報奨金が支給されたりするというメリットもあります。また、就職する際のアピールとしてITパスポート試験の資格を取得する方も多いでしょう。他の試験と比べても学生の受験者の割合が高いといえます。
参考:ITパスポート試験|IPA
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/student.html
ITパスポート試験の合格率
ITパスポート試験の合格率は50%程度です。令和2年4月から令和3年2月までで算出したITパスポート試験の合格率は59.5%でした。また、社会人の合格率は65.5%、学生は48.1%でした。一般的に、ITパスポート試験の合格率は、学生よりも社会人のほうが高い傾向にあります。
ITパスポート試験ではIT知識だけではなく、ビジネスや経営に関する問題も出題されることが理由として挙げられます。学生は実務経験がないため、ビジネスや経営に関する知識は浅い傾向にあります。
参考:ITパスポート試験結果|IPA
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/openinfo/pdf/statistics/202102_ip_shikenkekka.pdf
ITパスポート試験と基本情報技術者試験の比較
ITパスポート試験の上位資格として、基本情報技術者試験があります。独立行政法人情報処理推進機構IPAが実施している情報処理技術者試験の一つです。情報処理技術者試験では、難易度を4つに区分しています。
ITパスポート試験はレベル1にあたり、基本情報技術者試験はレベル2にあたります。レベル3にあたるのが基本情報技術者試験の資格を取得した後に受験が推奨される「応用情報技術者試験」です。さらに、レベル4は「ネットワークスペシャリスト試験」「データベーススペシャリスト試験」「プロジェクトマネージャ試験」など専門的な試験が挙げられます。
よって、基本情報技術者試験は、ITパスポート試験よりも難易度が高いことがわかるでしょう。基本情報技術者試験はITエンジニアにおける「登竜門」ともいわれています。
令和元年度の秋期における基本情報技術者試験の合格率は28.5%でした。合格率は20%から30%までの間で推移しています。ITパスポート試験は一度の試験のみですが、基本情報技術者試験の場合、午前と午後の2回試験があります。
以上からも、ITパスポート試験の難易度は基本情報技術者試験と比較すると簡単であるといえるでしょう。
レベル3の応用情報技術者試験までは学生でも取得することができるでしょう!
そのため、IT業界に勤めたいと考えている方は基本情報技術者試験から受けることがおすすめです!
基本情報技術者試験の場合、昇進条件にも関わるため重要視されています!
ITパスポートに受かるための勉強方法
ITパスポート試験の具体的な勉強時間と勉強方法が知りたい!
ここからは、ITパスポート試験に合格するために必要な勉強時間と勉強方法について詳しく紹介します。
ITパスポート合格に必要な勉強時間
ITパスポートに合格するために必要な勉強時間は、受験者もとからの知識の程度により異なります。勉強時間の目安は、100時間~150時間程度です。
したがって、ITパスポート試験に合格するために必要な勉強期間は3カ月程度ともいえます。しかし、IT知識をすでにある方が効率よく勉強すれば、30時間程度でも対策も可能です。ここからは、ITパスポートの勉強時間について紹介します。
文系の学生やIT未経験者の場合
文系の学生やIT未経験者がITパスポート試験のための学習時間は100時間~150時間程度です。よって、3カ月程度でITパスポート試験に合格できます。
まずはITパスポートの参考書に記載されている用語の意味を覚えることが重要です。参考書を通して用語とITの基本的な知識の体系を理解ましょう。
情報系学生やIT業界に所属する社会人の場合
情報系学生やIT業界に所属する社会人の場合、必要な勉強時間は30時間程度で合格することも可能ですです。よって、1カ月程度でITパスポート試験に合格できます。
まずは自身の苦手分野を把握することが重要です。苦手分野を見つけるためにも、過去問を活用して勉強することがおすすめです。
ITエンジニアの場合
ITエンジニアとして働いている方の場合は、勉強時間をさらに短縮することが可能です。これまでにも説明しましたが、ITエンジニアの場合、ITパスポート試験よりも上位の資格である基本情報技術者試験に挑戦しましょう。
ITエンジニアはITパスポートで勉強した知識が業務に役に立たない可能性ことが理由の一つとして挙げられます。
過去問を活用する
参考書をある程度理解することができたら、次の段階として過去問に取り組みます。過去問はIPAの公式サイトより問題と解答をダウンロードすることが可能です。
過去問を用いて勉強する理由は2つあります。まずITパスポート試験の問題の出題傾向に慣れるためです。次にITパスポートの試験では、過去問とまったく同じ問題が出題されることがあるためです。
「過去問だけで合格できた」という事例も存在するので、ぜひ過去問を活用しましょう。また、問題文が部分的に書き換えられている場合もあるため、問題文は注意してよく読むことが大切です。
私はITパスポート試験は取得していませんが、基本情報技術者試験の資格を取得しています。
基本情報技術者試験の午前問題も約25%程度は過去問とまったく同じ問題が出題されています!
ITパスポート試験の申し込み方法と受験する際の注意点
ITパスポート試験の受験までの流れについて知りたい!
ここでは、ITパスポート試験の申し込み方法から合格発表までの流れを詳しく紹介します。
ITパスポート試験に申し込む
ITパスポート試験を受験するためには「利用者ID」と「パスワード」を事前に登録する必要があります。すでに利用者IDを取得している場合は、新規登録する必要はありません。
利用者IDとは、受験に申し込む際や試験結果を確認する際などに必要となる個人を識別するためのIDです。最後に試験を受けた日から受験せず1年以上経過するとIDが無効となるため、その場合は再登録が必要となります。
まずIPAの公式サイトから利用者IDとメールアドレスを登録します。その後登録したメールアドレス宛てに利用者IDと仮パスワードが発行されます。その利用者IDと仮パスワードを用いてマイページへログインして利用者情報と本パスワードを設定します。
次に、マイページのメニューから「受験申込」を選択します。「試験会場」「試験日」「試験開始時間」「受験料の支払い方法」などを希望に合わせて選び、受験の申し込みは完了です。受験の申し込みは空きがあれば前日の正午まで申し込むことができます。
受験票はメールアドレス宛てに送付されます。確認票をダウンロードして印刷し、試験日に持参しましょう。なお、印刷やダウンロードができない場合は「受験番号」「利用者ID」「確認コード」の3点を控えていれば受験することが可能です。
ITパスポート試験の受験料
ITパスポート試験の受験料は5,700円です。受験手数料は、理由に関係なく支払ったら返還されないため注意しましょう。
支払い方法は「クレジットカード払い」「コンビニ支払い」「バウチャー」から選択することができます。バウチャーとは前売りチケットのようなもので、一度に9,999枚まで購入することが可能です。学校や企業などで受験者が多く存在する場合に便利といえます。
ITパスポート試験に受験するときの注意点
ITパスポート試験に受験する際には、「利用者ID」「受験番号」「確認コード」の3つと、「本人確認書類」が必要です。受験票は送付されません。試験会場や試験日などの申し込み内容の修正や変更は、試験日の3日前まで可能です。
ITパスポート試験は学生が受験することも多いです。そのため、学生証を本人確認書類として利用する方も少なくありません。スマートフォンのアプリなどの電子機器で提示された学生証は本人確認書類として利用できないため注意が必要です。
ITパスポート試験の受験当日の流れと合格発表について
試験開始の30分前から受付が実施されます。受験する会場へ案内されたら、受験用PCに「受験番号」「利用者ID」「確認コード」を入力してログインすれば、試験が開始することが可能です。試験が終了するとリアルタイムで採点され、試験結果が画面に出力されます。ここでは合否に関しては不明です。
翌々月の月初にIPAの公式サイトで正式な合格発表があります。合格証書は合格発表後の翌月に簡易書留で郵送されます。不合格であった場合には通知はありません。なお、合格証書の再交付は実施されないため、紛失しないように注意しましょう。
合格証書とは別に合格証明書を発行したい方は、改めて申請が必要です。合格証明書はITパスポート試験に合格したことをIPAが証明し、理事長の名前付で発行されます。合格証明書の発行手数料は1通あたり700円です。合格発表日の2週間後程度から発行することができます。申請書を提出後、入金の確認ができてから合格証明書の送付までに1週間程度かかります。なお、送付日の指定はできません。
参考:ITパスポート試験|IPA
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/openinfo/pass.html#syoumei
ITパスポートの試験概要と勉強方法を理解して合格を目指そう!
ITパスポート試験は、学生の方やITに関する基礎知識を深めたい方におすすめの資格です。ITパスポート試験では、IT知識以外の問題も出題されるため注意しましょう。合格率は50%程度と比較的高いため難易度はそれほど高くないです。
ITパスポート試験は47都道府県で毎月実施されています。また、学生の受験者数が多いことも特徴です。
勉強時間は一般的に3カ月程度です。まずは参考書を利用して用語の意味を押さえることが重要です。その後、過去問を活用して効率よく勉強しましょう。
ITパスポート試験は、IT業界だけではなく、すべての業界で活躍するために役立つ資格です。キャリアアップや上位の資格を目指す場合にもITパスポート試験の勉強で培った知識は踏み台となるでしょう。
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